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キスの引き釣り海中顛末

2012年04月18日
4月9日にアップした「オジサンの逃走劇」に続いて、もう一つ心に残る水中シーンをご紹介したいと思います。オジサンの逃走劇と同じで、釣り雑誌のレポート連載で発見したシーンです。

その取材は、投げ釣りでキスを狙うときの引き釣り仕掛けを水中追跡するものでした。舞台は京阪神のサーファーの聖地「イソコ」こと和歌山県磯ノ浦の砂浜です。

釣り人に仕掛けを投げ入れてもらい、道糸をたどって仕掛けに到着。ゆっくりさびいてもらいながら、キスが掛かったシーンを狙って追跡していきました。天秤オモリを使った5本バリ仕掛けにイシゴカイをちょん掛けにしたオーソドックスな引き釣りです。キスの魚影の濃さでは定評のある磯ノ浦のこと。沖の方から仕掛けをさびいてくるとキスが掛かっている姿をとらえることができました。

「ブルンッ」とくれば1尾目、次の「ブルンッ」で2尾目…。熟練したキャスターは、道糸とロッドを通して手に伝わる魚信を頼りに、多バリ仕掛けにキスが何尾掛かったかカウントしていくといいます。ブルンッというアタリを手で感じるには、多バリ仕掛けがオモリの後方(沖側)に直線的にのびていなければいけません。仕掛けをゆっくりさびく引き釣りのことですから、海中では当然そんな状態になっているものと思い込んでました。

海底をゆっくり引きずられていく仕掛けにキスが1尾掛かっているのが見えました。仕掛けとキスの位置関係をよく観察します。釣り人に引っ張られまいと逆方向に抵抗して泳いでいるのかと思いきや、何とオモリよりも先に泳いで、つまりオモリを追い抜いて右往左往しているではありませんか。これでは、2尾目のキスが食いついたとしても「ブルンッ」というアタリが出るかどうか。

おまけにハリに付いたイシゴカイを狙って不意に砂底から何かが飛び出してきました。何の魚だろうと注視すると、親指のツメほどのカニが器用にはさみでハリをつまんでイシゴカイを食い始めました。その間も仕掛けはさびかれていますがカニは仕掛けに乗っかりながらながらエサをむさぼり食っています。いよいよ仕掛けが波打ち際に到達しようかというところで、パッとハリを離して忍者のように砂の中に戻って行きました。きれいさっぱりエサが取られたハリを見て、私は海の中で笑い転げていたのでした。

kani